タバコを止めたいけれどやめられない、と悩む喫煙家は多いです。
意を決して禁煙外来を探しても、近所になくて挫折した、という声もよく聞きます。
その時は、何科を受診すればいいのでしょう。
今回は、その悩みに応えます。
目次
禁煙外来がない時は何科を受診すればいい?
確かに「禁煙外来」を設けている医療機関は、昔より増えてきました。
しかし未だ多くはありません。
では、何科を受診すればいいのでしょう。
実は、禁煙外来を謳っていなくても、禁煙の診療&治療を行っている病院やクリニックがあるのです。
嬉しいことに、最近はその数が増えてきました。
たとえば内科、循環器科、心療内科、婦人科など、さまざまな診療科で禁煙治療を行っています。
喫煙と肺は密接に関係するため呼吸器系の病院やクリニックで治療を行っているところが多いです。
しかし自分の性格を鑑みて、途中で挫折しそう・・・と思うならば、メンタルクリニックがお勧めかもしれません。
心療内科医が的確なサポートに入ってくれるので成功しやすいと言えるでしょう。
また、レディースクリニックならば、女医が多いので、妊娠中だったとしても相談しやすくなります。
大切なのは、心の負担が少ないこと。
通いやすい病院、信頼できる医師と出会えたら最高ですね。
治療方法は確立されていますから、どこの病院やクリニックを選んでも同じ治療になります。
治療にあたっては、何度か通う必要がありますから、質問者さんが言うように、近所で探すのがベストといえます。
探し方としては、住まいの街にある病院やクリニックのHPを閲覧しに行く、かかりつけ医に相談する、市役所の「健康づくり課」に問い合わせる、などで、必ずたどり着けます。
健康保健で禁煙治療を受けるには?
タバコを止めるには、健康保険が適用されるかどうかも大切なポイントになります。
保健が適用されるためには、5つの条件を満たしている必要があります。
- 現在タバコを吸っていて、ただちに禁煙しようと考えている
- 下記に示した、ニコチン依存症に係わるスクリーニングテストで、当てはまるもの(はい、と答えた数)が5つ以上ある
- 禁煙治療を受けることを、文章で同意している
- 35歳以上の人は、1日の平均喫煙本数×喫煙年数=200以上(34歳以下の人は、条件なし)
- 1年以内に健康保険による禁煙治療を受けていない
ニコチン依存症に係わるスクリーニングテスト
①自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか?
②禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか?
③禁煙したり本数の減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか?
④禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか?
(イライラ、神経質、落ち着かない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
⑤④の症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか?
⑥重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか?
⑦タバコのために、自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
⑧タバコのために自分の精神的問題(※)が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
(※喫煙することで神経質になったり、不安や抑うつなどの症状が出ている状態)
⑨自分はタバコに依存していると感じることがありましたか?
⑩タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか?
どのような治療を行うの?
通いたいと思うクリニックが見つかったとします。
次に心配になるのは、どのような治療が行われるかということ。
治療は12週間に5回の通院のプログラムになります。
半年くらい定期的に通うのかな?と思っていた人は、安堵することでしょう。
しかも、コロナ禍に於いて、全部オンライン診療でも可になりました。
医療機関によって、5回全部対面で行うところや、5回中3回はオンラインOKのところなど様々ですので、禁煙を始める前にしっかりチェックしておきましょう。
第一回目は医師との間(対面・オンラインどちらも可)で、問診と検査が行われます。
- 喫煙状況などの把握
- 呼気一酸化炭素濃度検査
- 禁煙開始日の設定
- 問題点の把握とアドバイス
- 禁煙治療薬の選択と処方
生活に合わせた自己管理の方法や、タバコを吸いたくなった時の対処方法など実践的なアドバイスをもらえるのが嬉しいですね。
加えて薬物療法を用いることもあります。
1番の敵は、脳に刻まれた<タバコがおいしかった>という記憶。
これを否定するために、禁煙補助薬を用いることで、タバコをまずく感じるようになります。
従ってタバコへの依存から離れていけるのです。
ただし、禁煙補助薬は医師が必要と判断した場合に限ります。
また、禁煙補助薬を使用するときは、薬の特徴と使い方の説明があります。
薬には飲み薬以外にも貼り薬を用いることがありますので、正しく使うために、しっかり聞くようにしましょう。
いよいよ、初回の禁煙日が決まり、スタートします。
初回日から2週間後、2回目の診療。
更に2週間後3回目の診療。
3回目から4週間後に4回目の診療。
4回目から4週間後に5回目(最後)の診療です。
ここまでの計12週間のプログラムで治療は完了します。
2回目から5回目までの間、医師が行う診療内容は、喫煙状況などや離脱症状の確認、濃き一酸化炭素濃度検査、問題点の把握とアドバイス、禁煙治療薬の選択と処方など。
禁煙を始めて最初の2~3日は、ニコチン切れから、イライラしたり怒りっぽくなったりと離脱症状が現れます。
その時に、禁煙補助薬を使うことで、離脱症状をやわらげます。
もちろん薬を使わずに、医師のカウンセリングだけでOKという人もいます。
そこは、一人ひとりに合った治療が行われるというわけです。
成功率は70%~80%!
禁煙を成功させる工夫
12週間でタバコと決別したい!と決意したならば、診療が行われている期間中、下記の事にも取り組んでみましょう。
生活習慣を変える
喫煙時と同じ生活サイクルを行っていると、その習慣から無意識にタバコに手を伸ばしてしまうことがあります。ですから、タバコと結びつく行動を変えてみましょう。たとえば、洗顔・朝食・身支度の順番を変えてみたり、食事場所を変えてみたり、寝る時間や寝る場所を変えてみたり、といった工夫も必要です。
タバコに関するものは目にしない
家の中ならば、タバコや灰皿を片付けるとか、外出先ならば、タバコの自動販売機やタバコ店の前を通らないとか、食事所なら禁煙席を選ぶとか、出来る限り避けた生活を心がけてください。
代替品を用意する・・・どうしても口寂しいことがあります。その時は、ガムや飴をなめて凌ぎましょう。それらのカロリーが気になるときは、ミネラルウオーターやお茶を飲むとか、歯磨きして口内をさっぱりさせるのが良いでしょう。また、軽度のランニングや散歩などして気分を転換させるとタバコを一時、忘れられるようになります。
タバコが吸いたくなる意味を知る
「意志が弱いから、タバコがやめられない」と思っている喫煙者はいませんか?
違います。ニコチン依存症という病気だから止められないのです。
タバコを吸うと、有害物質の1つであるニコチンが脳へ瞬時に届き、快感物質(ドーパミン)を出してすぐに消えていきます。
だから、またタバコを必要としていたのです。
身体からニコチンを追い出せば、タバコは吸いたくなりません。
「スモハラ」って何?
受動喫煙や喫煙の強制など、タバコに関する嫌がらせ行為をスモークハラスメント(スモハラ)と呼びます。
喫煙者が吸い込む主流煙より、その周囲にいる人が吸う副流煙の方が、高濃度の有害物質が含まれています。
タバコの煙には4000種類以上の化学物質と、約200種類の有害物質が含まれています。
中でもニコチン(強い依存性と血管の収縮悪化)、タール(発がん物質)、一酸化炭素は(全身の細胞を酸欠状態にする)は、三大有害物質です。
タバコを吸わない人にとって、臭いや煙は不快で、ストレスを感じるだけでなく、頭痛やめまい、目やのどの痛みなどを感じることがあります。
喫煙者は、受動喫煙の害やスモハラを理解し、周囲への十分な配慮を行わなければいけません。
タバコを止めてしまえば、スモハラを気にすること自体が無くなります。
まとめ
「タバコを止めたい」という気持ちがあれば、喫煙から離脱できます。
禁煙を始めるのに齢を気にする人がいます。
「もう50歳だから、今さら禁煙しても意味がない」という声も聞きます。
しかし、50歳未満で禁煙すれば、タバコを吸い続けた時と比べて、その後15年間の死亡率が半分になると言われています。
何歳であっても遅すぎることはありません。
しかも、肺がんを含め様々な発症するリスクも減少します。
タバコを止めるというのは、体にとって良いことだらけなのです。
それから、もし、禁煙治療に成功しても、何かのキッカケで喫煙を再開してしまう人がいます。
それでも諦めないでください。
最近は、ニコチン依存症治療用アプリが開発され2020年12月から健康保険が適用されるようになりました。
こちらも医師の指導の下で、治療が行えるツールです。再び立ち向かえます。
最後に日本医師会から、怖くなる情報を1つ。
コレを思い出すことで、二度とタバコを吸いたくなくなることでしょう!
記憶に留めておいてください。
〇依存症になる割合
ニコチン>ヘロイン>コカイン>アルコール>カフェイン
〇依存症になった時の禁断症状の強さ
アルコール>ヘロイン>ニコチン>コカイン>カフェイン
これが、タバコ含まれるニコチンの怖さです。
ニコチンは他の薬物よりも依存性が高いとは!しかも禁断症状はコカインよりも強い!
これでは、自力でタバコを止めるなんて無理かも・・・。
やはり医師の指導の下で、しっかり取り組む方が速くタバコとさよならできるでしょう。
身体からニコチンを全部出す=「タバコを吸いたい」症状からの離脱です。
禁煙外来に固執せず、お住まいの街で禁煙の治療を行っている病院やクリニックをお探しください。
質問者さんの成功を祈っています。