【前編】空飛ぶ看護師「フライトナース」へ キャリアチェンジしよう!

”ドクターヘリ”をご存知でしょうか。
2017年TVドラマ『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』が放送され、翌年には劇場版も公開されました。

どちらも大ヒットしたことから、ドクターヘリの存在を知った人も多いかと思います。

ドクターヘリとは、救急専用の医療設備を装備したヘリコプターのこと。

救急医と看護師が同乗し、主に緊急性の高い患者の元へ直接向かい、即座に治療を開始する「病院前救急診療」を行います。
救急専用の車・ドクターカーもありますが、それでは山岳地帯や離島などへは到着まで時間がかかってしまう。

そこでヘリコプターを飛ばして、1分でも1秒でも早く患者を救おうとする“攻めの治療”がドクターヘリという訳です。

そこに乗る看護師は、フライトナースと呼ばれます。
認定看護師のような特別な資格は必要なく、資格上はただの正看護師。
しかし、望めば誰もがフライトナースになれるわけではありません。

今回は、フライトナースはどのような仕事を行うのか、ドクターヘリを有している病院はどこにあるか、フライトナースに成れる条件は何かなどを前編・後編に分けて解説します。
今、一番求められているフライトナースに、あなたも名乗りをあげませんか。

 

救命医療の最前線に立つフライトナースの仕事

ドクターヘリの目的は、現場で医師と看護師が患者を初期治療し、病院へ搬送することです。

一刻を争う生命の危機。現場で救命措置ができたなら、数多くの命が救われることでしょう。

病院で患者を待つ姿勢から、現場へ出向く姿勢へ方向変換したのがドクターヘリという存在です。
ちなみに、ドクターカーも現場で初期治療を始めることで救命率を上げています。

ヘリの中は、空間がかぎられているので、多くの医療機器を持ち込めません。
限られた機器、限られた薬剤、限られた時間・・・あらゆる制約の中で、自らも危険と向き合いながら患者の命を最優先して活動する、それがフライトナースです。

フライトナースの仕事は、ヘリに乗る前から始まります。
ヘリが病院で待機している間は、エマージェンシーバッグを確認し、薬剤などを補充。
また、ヘリ内に設置されているモニターやシリンジポンプ、輸血ポンプ、吸引機など機器類の正常動作をチェックしておきます。
いつでも出動できるように体制を整えておくのです。

フライトナースはヘリの要請が入るまで、救命救急センター内で通常業務を行っています。
消防本部から要請がかかると、数分で離陸して指定された現場近くのランデブーポイント(救急車とドクターヘリが合流する場所。合流する場外離着陸場は、校庭や駐車場、公園などが選定されている)へ向かいます。

ヘリの乗組員(クルー)は、フライトドクター、フライトナース、整備士そしてパイロットが一般的です。
無線で患者の情報(年齢・性別・状態・意識レベルなど)をうかがいつつ、ドクターとナースが初期治療の準備に取り掛かります。

現場に到着すると、フライトナースは、ドクターの医療行為補助、指示による投薬、血管確保、態勢の維持など、患者の救命に関わることすべてを担当します。
家族がいれば、患者の様子・状況を聞き取ることも仕事のひとつ。

また、動揺したり、興奮したりしている家族を落ち着かせ、不安になっている家族の気持に寄り添い、力づける役割もあります。
家族のケアもナースの大切な業務なのです。

ちなみに整備士は、ヘリが安全に飛行できるように機体の保守点検をしますが、それだけでなく、パイロットが操縦に専念できるように消防からの無線通信に対応したり、ランデブーポイントに降りる手配を担当したりします。
また現場到着後、真っ先にヘリから降り、ドアの開閉を行います。

ストレッチャーを操作するなどしてドクターやナースのサポートにあたるのです。
フライトナースは患者をヘリに乗せ、適切な病院へ向かう搬送中、患者のバイタルサインや点滴の確認、軌道の確保などのチェックを行います。

ヘリはプロペラの音でうるさいため、患者の顔色や表情を常に観察し、様子を見続けます。

病院に到着後は、地上で待つドクターやナースへすみやかに引き継ぎます。
連携を取りながら1秒も無駄しない、これが患者を救う生命線です。

出動後は、現場で使用した医療器具や薬剤などを補い、次の要請がかかった時、すぐ出動できるように整えておきます。
ドクターヘリの出動回数は、日によって差があります。

1日に何回も要請が入ることもあれば、数日間ないこともあります。

なお、ドクターヘリは大規模災害時にも出動します。
その際は、多数の傷病者が想定できるので、傷病者を被災地外へ短時間で広域に分散して搬送します。

全国で54機を数えるドクターヘリですが、自衛隊ヘリ、警察ヘリ、消防防災ヘリ、海上保安ヘリ等と連携して救助活動を行うことが求められています。

 

 

ドクターヘリがある救命救急センター

フライトナースを目指すならば、ドクターヘリを有している救命救急センターへ就職する事がベストです。

まずは、あなたが住む都道府県のどこに救命救急センターがあるかを知っておきましょう。

もし現在、他の病院で働いているなら、ドクターヘリのある病院へ転職し、技術と人間関係を整えてください。

救急ヘリ病院ネットワークによると、救命救急センターは全国に280箇所以上あります。
2021年5月時点で、ドクターヘリは45都道府県に54機が配備されています。

未導入の所は、東京都と香川県だけですが、導入は決定されているので、近いうちに全都道府県にドクターヘリが有る状態へ変わることでしょう。

配備数は、多くの県で1機です。
従ってヘリの出動中に要請が入ると対応ができません。
この重複要請に対応するため、現在は隣県同士が協定を結び、助け合っているところもあります。

それでは、ヘリを有する病院を一挙に紹介します!

 

北海道

医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

https://www.keijinkai.com/teine/

旭川赤十字病院

https://www.asahikawa.jrc.or.jp/

市立釧路総合病院・釧路孝仁会記念病院

https://www.kushiro-cghp.jp/

市立函館病院

https://www.hospital.hakodate.hokkaido.jp/

 

青森県

八戸市立市民病院

https://www.hospital.hachinohe.aomori.jp/

 

青森県立中央病院

https://aomori-kenbyo.jp/

 

秋田県

秋田赤十字病院

http://www.akita-med.jrc.or.jp/

 

岩手県

岩手医科大学附属病院

https://www.hosp.iwate-med.ac.jp/yahaba/

 

山形県

山形県立中央病院

http://www.ypch.gr.jp/

 

宮城県

先代医療センター・東北大学病院

https://www.hosp.tohoku.ac.jp

 

福島県

福島県立医科大学附属病院

https://www.fmu.ac.jp/byoin/

 

新潟県

新潟大学医歯学総合病院

https://www.nuh.niigata-u.ac.jp/

長岡赤十字病院

http://www.nagaoka.jrc.or.jp/contents/

 

富山県

富山県立中央病院

https://www.tch.pref.toyama.jp/aboutus/trait/emergency/

 

石川県

石川県立中央病院

https://kenchu.ipch.jp/department/kyumei5.html

 

福井県

福井県立中央病院

https://kenchu.ipch.jp/

 

栃木県

獨協医科大学病院

https://www.dokkyomed.ac.jp/hosp-m/hospital/helicopter/

 

群馬県

前橋赤十字病院

http://www.maebashi.jrc.or.jp/

 

茨城県

水戸済生会総合病院・国立病院機構水戸医療センター

https://mito.hosp.go.jp/

 

埼玉県

埼玉医科大学総合医療センター

http://www.kawagoe.saitama-med.ac.jp/

 

千葉県

日本医科大学千葉北総病院

https://www.nms.ac.jp/hokuso-h.html

君津中央病院

http://www.hospital.kisarazu.chiba.jp/heri.html

 

神奈川県

東海大学医学部付属病院

https://www.fuzoku-hosp.tokai.ac.jp/

 

山梨県

山梨県立中央病院

https://www.ych.pref.yamanashi.jp/department01/1052/

 

静岡県

聖隷三方原病院

http://www.seirei.or.jp/mikatahara/activity/emergency/doctor-helicopter/index.html

順天堂大学医学部附属静岡病院

https://www.hosp-shizuoka.juntendo.ac.jp/department/lifesaving/doctor-helicopter/

 

長野県

厚生連佐久総合病院佐久医療センター

http://www.sakuhp.or.jp/ja/center/

信州大学医学部附属病院

https://wwwhp.md.shinshu-u.ac.jp/

 

岐阜県

岐阜大学医学部附属病院

https://www1.gifu-u.ac.jp/~qqa/airambulance.html

 

愛知県

愛知医科大学病院

https://www.aichi-med-u.ac.jp/hospital/sh01/sh0104/

 

三重県

三重大学医学部附属病院

https://www.hosp.mie-u.ac.jp/section/kyukyu/

 

伊勢赤十字病院

http://www.ise.jrc.or.jp/info/i04.html

 

滋賀県

済生会滋賀県病院

https://www.saiseikai-shiga.jp/ssh-emc/doctor-heli.html

 

大阪府

大阪大学医学部附属病院

http://www.osaka-u-taccc.com/

 

奈良県

奈良県立医科大学附属病院

https://www.naramed-u.ac.jp/hospital/

南奈良総合医療センター

http://nanwairyou.jp/minaminara/

 

兵庫県

公立豊岡病院組合立豊岡病院

http://www.toyookahp-kumiai.or.jp/modules/kumiaipage/index.php?content_id=31

兵庫県立加古川医療センター

https://kenkako.jp/department/fields/emergency/

製鉄記念広畑病院

http://www.hirohata-hp.or.jp/hetccc/index.html

 

鳥取県

鳥取大学医学部附属病院

https://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/departments/center/critical-care/

 

島根県

島根県立中央病院

https://www.spch.izumo.shimane.jp/hospital/chara/er.html

 

岡山県

川崎医科大学附属病院

https://h.kawasaki-m.ac.jp/data/advanced_center_heli/feature_dtl/

 

広島県

広島大学病院

https://www.hiroshima-u.ac.jp/hosp

県立広島病院

http://www.hph.pref.hiroshima.jp/bumon/center/emergency_sec01.html

 

山口県

山口大学医学部附属病院

http://drheli.hosp.yamaguchi-u.ac.jp/

 

徳島県

徳島県立中央病院

https://tph.pref.tokushima.lg.jp/central

 

高知県

高知県・高知市病院企業団立高知医療センター

http://www2.khsc.or.jp/

 

愛媛県

愛媛県立中央病院

https://www.eph.pref.ehime.jp/epch/index.html

愛媛大学医学部附属病院

https://www.hsp.ehime-u.ac.jp/

福岡県

久留米大学病院

https://www.kurume-u-qq.com/

 

大分県

大分大学医学部附属病院

https://www.med.oita-u.ac.jp/hospital/

 

佐賀県

佐賀大学医学部附属病院

http://suhtar.med.saga-u.ac.jp/

佐賀県医療センター好生館

http://www.koseikan.jp/medical_care/clinical_department/emergency/treatment/

 

長崎県

国立病院機構長崎医療センター

https://nagasaki-mc.hosp.go.jp/section/doctor_helicopter.html

 

熊本県

熊本赤十字病院

https://www.kumamoto-med.jrc.or.jp/

宮崎県

宮崎大学医学部附属病院

http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/kyuumei/heli/index.html

 

鹿児島県

鹿児島市立病院

https://www.kch.kagoshima.jp/

鹿児島県立大島病院

http://hospital.pref.kagoshima.jp/oshima/

 

沖縄県

浦添総合病院

https://jin-aikai.com/urasoe/

 

まとめ

まだまだ、ドクターヘリを有している救命救急センターは少ないです。
日本にドクターヘリが導入されたきっかけは、1995年1月に起きた阪神・淡路大震災でした。
道路が寸断され、救急車の出動が困難な状態に・・・。消防防災ヘリも出動しましたが、震災当日に傷病者を救出できたのは1人でした。

3日間の合計でも17人と非常に少なかったのです。

これを機に救急医療を専門とするヘリコプターが必要だとの声が高まり、2001年4月に本格導入が決まったのです。
2011年3月東日本大震災では18機のドクターヘリが現場へ出動し、160人以上を初期治療&搬送しました。

今後もドクターヘリの数を増やし、1つの県に複数機ある状態に変えていけば、人命はもっと救えることでしょう。

ますます期待されるドクターヘリ。
それに伴い、フライトナースも増やしていかなければいけません。
後編では、フライトナースになるためには、どのような条件を満たせば仕事に就けるのかを具体的に説明します。

ぜひ、そちらもお読みください!

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