【質問】リモートワーク中心の職場です。最近、仕事中に左瞼がピクピクするようになりました。小刻みに震え、痙攣している感じ。1分ほど経てば落ち着いて、自然とおさまります。しかし、たびたびピクピクするので、病気ではないかと心配です。

突然「瞼がピクピクして焦った・・・」という経験、ありませんか?
現代は、TVのほかにスマホやタブレット、リモートワークなどで、画面を見る時間が格段に増えています。
目を酷使するため、何か目の病気にかかってしまったのかしら?と不安にかられている人も多いかと思います。

今回は、瞼や目の周りの筋肉がピクピクした時、どのような病気が考えられるのか、症状の特徴や治療法も併せて紹介します。
自分の意志とは関係なしにピクピクしてしまうのは、体が発しているSOSのサインです。
放っておかず、改善に務めましょう!

 

考えられる3つの病気

瞼や眼の周りの筋肉がピクピク動く。
自分の意志とは関係なく動き出すだけに、不安も高まります。
この現象で考えられる病気は、主に3つあります。

  1. 眼瞼ミオキミア
  2. 眼瞼けいれん
  3. 片側顔面けいれん

 

①眼瞼ミオキミアの症状は、短時間のうちの断続的な眼のけいれんです。
疲労やストレス、睡眠不足などが原因とされています。

②眼瞼けいれんの症状は、長時間わたっての眼瞼のけいれんです。
重度の場合は自力で眼を開けられなくなることがあります。
50~70歳代の女性に多いとされ、患者は10万人中、約10~20人の割合です。

③片側顔面けいれんの症状は、顔の片側または全体のけいれんです。
こちらも50~70歳代の人が多いのですが、男女比は1対1。
患者は10万人中、約1~10人の割合です。
それででは、①から詳しく説明していきましょう。

①眼瞼ミオキミア

眼瞼ミオキミアは、上まぶたもしくは下まぶたの一部がピクピクし、しばらくすると止まります(通常は片側のみ)。
原因は、筋肉の一時的な収縮・顔面神経の圧迫です。

では、なぜ収縮や圧迫が起きるのか?
それは疲労やストレス、睡眠不足などが誘因になると考えられています。
私たちは、眼輪筋(がんりんきん)が働いて、瞼の開閉を行っています。
この筋肉は眼瞼を司っているのですが、 疲労や睡眠不足などがあると働きが弱まってしまうため、けいれんが始まるのです。

もうひとつ、脳に多大な負荷かかると、眼輪筋や顔面神経が圧迫され目元のけいれんが起こることがあります。
たとえば、新しい会社へ入ったり、新しい学校へ進学したり、上司に怒鳴られたり、抱えきれないほどの仕事量をこなしていたり・・・と、息抜きできない環境下において、自分でどうにか適応させようとすればするほど、脳に重い負荷がかかります。
その結果、瞼が反応してピクピクとけいれんを起こしているのです。
つまり「少し休んでください。眼を閉じてください」というサインを体が出し、教えてくれているのです!

対処法は、眼と脳に優しい時間を作ることです。
今あなたが見ているモニターやスマホのスイッチを、一旦切りましょう。
仕事中なら休憩室へ、学校ならば保健室へ一時避難してください。

次にホットアイマスク(温かなタオルも可)を瞼の上にのせて、眼輪筋を温めます。
そのまま軽く(15分~30分)静かに過ごしてください。
昼寝ができる環境でしたら、そのまま十分な睡眠をとるのも良いと思います。
ヒーリン音楽を流すのもOK。眼が覚めたら、血流が良くなっていることに気づくと思います。

さらに時間があるときは、顔や頭、肩や首まわりの筋肉を軽くマッサージしてください。
これがセルフでできる応急処置です。

眼瞼ミオキミアは、ストレス要因がなくなると、数日から数週間で自然におさまっていきます。
たとえば、会社に馴染んだ、新しいクラスにとけ込めた、膨大な仕事が片付いた、上司から認められるようになった・・・というような解消です。

余裕があれば「バランスのとれた食事」と「規則正しい生活」を心がけてください。
ハンバーガーやホットスナックといったジャンキーな食事やコンビニ食だけでは、栄養が偏ってしまいます。
野菜中心の食事に切り替え、彩り豊かな食卓にしましょう。
寝る時間と起きる時間を定め、アルコールやカフェインも控えめにしてお過ごしください。

このような生活を1か月間改善させても、瞼のピクピクが静まらないときは、眼科を受診しましょう。
眼科では、ビタミン12を配合した点眼薬が処方されると思います。
厚生労働省によると、ビタミン12は、神経や血液細胞を健康に保ったり、DNAの育成を助けたり、疲労や体力低下を引き起こす貧血を予防するとのこと。
蛇足ですが、食材でビタミン12を摂取するならば、しじみ、あさり、はまぐり、牡蠣、レバー(牛・鶏・豚)、のり、わかめ、あおさ、卵などに多く含まれています。

眼瞼ミオキミアは、結膜炎やドライアイといった病気を抱えていると、ピクピクの症状が出やすい傾向にあります。
なるべく健全な生活を心がけ、自律神経の乱れやストレスを軽減させれば、症状が出にくくなります。
また、目の周りをソフトにマッサージしたり、1時間に10分間ほど眼の休憩時間を入れたりすることも有効です。

 

②眼瞼けいれん

眼瞼けいれんは、両目のまわりの筋肉が自分の意志とは関係なくピクピクし、眼が開けにくくなる病気です。
ピクピクする原因は、疲労や睡眠不足などではなく、脳から正しい情報が伝わらないため(神経伝達異常)、眼の開閉がうまくいかず、けいれんをおこしているのです。
50代~70歳代の女性に多く見られる症状ですが、それより若い年齢でも起こることはあります。
また男性はまったくないという訳ではなく、女性に比べ1/2~1/3程度とお考えください。
それでは、下記に10個の質問を用意しました。
「はい」と思ったものを数えながら応えてください。

  1. 光をまぶしく感じる
  2. まばたきの回数が多くなった
  3. よく片目をつぶる
  4. 口元がピクピクすることがある
  5. まぶたがピクピクすることがある
  6. 目がかわき、ショボショボする
  7. 目を開けているのがつらい
  8. 目や目の周りに違和感や異物感がある
  9. 以前のような自然なまばたきができていない
  10. 意志とは関係なく目をつぶることがある

いかがでしたか?
「はい」と答えた数が2個以上あった方、それは「眼瞼けいれん」の可能性が・・・。
つまり、脳内の運動を抑制するシステムが機能障害を起こしていると考えらます。
このまま進行すると、人や物にぶつかったり、眼を開けていられなくなったり、自転車や自動車の運転中に事故をおこしたり、段差の高低差を目測できずに転んでしまったり、と生活に支障が出てきます。

通常は、両目のまわりにピクピクとけいれんが起きますが、左と右に強度の差が生じることもあります。
中には、ピクピクと同時に、頭痛や耳鳴り、抗うつ症状などを感じる人もいます。
けいれんの進行はそれほど早くありませんが、自然と症状が治まることもありません。
自然治癒は難しいので、1日も早く眼科へ行き、医師に診てもらうのが最善策です。
現在は、発症の原因が完全に解明されていないため、症状を抑える(和らげる)治療が中心になっています。

病院では、眼瞼けいれんに特徴的な症状の有無の確認から行われます。
まずは問診。自力で瞼を開けられるか、瞬きの回数が多くないか、けいれんによる眉間の皺などがあるか、などを確認します。

次にテストです。
瞬きを素早く繰り返すテストや、眼を強く閉じたあとに眼を開ける動作を繰り返すテストなどを行います。
また、筋電図検査やポジトロンCT検査を行うこともあります。
これは、ドライアイや顔面けいれんなどの病気と似た症状が出るため、慎重に見極めるために行われる検査です。

症状を和らげる治療の中で、効果的な方法の1つに、ボツリヌス神経毒素を眼輪筋や眼の周囲へ注射する、があります。
毒素という文字を見ると「本当に大丈夫なの?」と、怖く感じますが、このボツリヌス毒素療法は、世界80か国以上で許可され、広く用いられている療法です。
この療法で使用されるボツリヌス菌は、たんぱく質を作り出します。
このたんぱく質(ボツリヌスから製剤化された注射薬)が神経の働きをブロックするので、眼輪筋などの過渡な緊張やけいれんを抑えてくれるのです。
ボツリヌス毒素療法に副作用はありませんが、注射量が多いと薬が効きすぎて眼が閉じにくくなることがあります。

しかしこれは、一時的なことですし、医師が決まった量だけ注射すればほぼ問題は起きません。
薬の効果は、おおむね2か月~4か月(個人差あり)。
医師と相談しながら定期的に注射を打つことになります。
なお、この注射は保険適用です。

補助的に薬物(内服薬)を併用することもあります。
たとえば、抗けいれん薬、抗コリン薬、抗不安薬、抗痙縮薬、など。薬を用いることでピクピクをより軽減させていく、というわけです。

その他に、対処療法としてクラッチメガネを用いて、下がってきた瞼を持ち上げる手法もあります。
クラッチメガネとは、メガネにクラッチグラスという部品が付いたものです。
この部品が瞼をソフトに持ち上げます。

もうひとつ、遮光レンズ眼鏡があります。
これは特別な塗料で制作されたレンズで、単なるサングラスとは異なります。
可視光線の青色光線を選択的にカットするので眩しさが軽減される眼鏡になっています。
希望者には医師からメガネを勧められることがあります。

これらの方法を試しても改善が見られなければ、手術を検討することも考えられます。
たとえば瞼を持ち上げる眼瞼皮膚切除や、眼輪筋を切除し感覚を鈍くする眼輪筋切除術などです。
ただし術後、腫れ物ができたり、瞼が閉じにくくなったり、額に痛みを感じたりする人も一部にはいます。
ですから、手術前に医師とよく話し合うことが必要です。

先に、50代~70歳代の女性に多く見られる症状と書きましたが、40歳未満でピクピクとけいれんする場合は、服用している薬が原因で起きていることも考えられます。
また化学物質などの外来因子の暴露が原因になっていることもあります。
主治医とよく相談してください。

 

③片側顔面けいれん

片側顔面けいれんは、顔の片側がピクピク動く病気です。
最初は片方の目の周りがけいれんしますが、徐々に頬や口の周りへと広がっていきます。
通常、ピクピクは顔の片側だけに見られますが、ごくまれに両側で生じる人もいます。
けいれんが始まる誘因として、冷気が顔に直接当たった、睡眠不足だった、強いストレスを感じた、光が眩しすぎた、酒を飲みすぎた、などがあります。
けいれんが強くなると、片顔がつっぱったり歪んだ表情になったりすることも。
けいれんの頻度も、ときどきだったものが、次第に間隔が狭まり、日常的に起きる場合があります。

片側顔面けいれんは、生命に関わる病気ではないので、気にならなければ経過観察で過ごす人もいます。
その一方で、他人と会うことを避けるなど精神的な負担を感じる人も少なくありません。

なぜピクピクしてしまうのか、その原因は詳しく解明されていません。
しかし、脳の深部にある、顔の筋肉を動かす神経(顔面神経)と血管が接触し、神経が興奮することでけいれんが起きているのではないか、と考えられています。
また近年の調査で、脳腫瘍や動脈瘤が顔面神経を圧迫している場合や、顔面神経麻痺の後遺症などによっても発症することがある、とわかってきました。

症状を和らげる治療は幾つかありますが、眼瞼けいれんと同じボツリヌス毒素療法が多く用いられるようです。
これは、数か月に一度注射を受けていく対処法。根本的な治療ではないため、内服薬を併用してけいれんを和らげることもあります。

一方、職業がら人前に出る仕事や、完全に近い治癒を強く望む人には、手術療法を行います。
ジャネッタ手術といいます。これは、神経を圧迫している血管の位置などをMRIで検査し、接触する血管の圧迫を取り除く、という手術です。
脳の深い部分にメスを入れるので全身麻酔をかけて行われます。
とても難しい手術のため、経験豊富な脳外科医に診てもらうといいでしょう。

なお、ジャネッタ手術にはどのようなリスクがあるのか、術前に医師から詳しく聞いて、納得することが大切です。
手術後、1週間~10日後には退院可能になります。
術後のけいれん消失率は、約85%~90%、再発率は5%~10%といわれています。

 

眼に関わる紛らわしい病気

眼もしくは眼のまわりに関する病気が、上記の3つの他に幾つかあります。
医師は正確な病気を特定するため、問診や検査を入念に行います。
ここに、幾つか紹介します。

①眼瞼下垂
瞼が垂れさがり、見えにくくなる病態

②眼精疲労
目の使い過ぎによって、目だけでなく全身に疲れを感じている状態

③チック症
小児や青年期に、体の一部や声が勝手に動いてしまう症状。
顔に症状が出たときは、まばたくが多くなったり、顔をしかめたりする。
それらを繰り返す状態

➃ドライアイ
涙の量が不足し、涙の質のバランスが崩れることで涙が均等にいきわたらなくなる。
その結果、眼の表面に傷や障害が生じる病気

⑤開瞼失効(開瞼先行)
上瞼を持ち上げる筋肉が自分の意志で動かせなくなり、瞼を開けられなくなる病気

⑥重症筋無力症
神経と筋肉のつなぎ目が破壊されることで伝達ができなくなり、筋肉の麻痺が起こる病気。
瞼が下がったり、ものが二重に見えたりする

⑦自律神経失調症
交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで起こる様々な症状の総称。
眼のまわりや顔の筋肉に不快な症状がおきる場合がある

⑧うつ病
自分には価値がないと思い込み、活気を失う。
眼のまわりや顔の筋肉に不快な症状が現れることがある

 

まとめ

質問者さんは、近ごろ眼のピクピクを不快に思い、病気を疑っているとのこと。
コロナ禍でリモートワーク中心の生活に変わったことが要因しているのかもしれません。
そこで、2~3日、画面日記をつけてみましょう。
パソコン画面を見ている時間、スマホを見ている時間、TVを見ている時間、ゲームをしている時間など、眼を使っている時間を足してみるのです。
その数字から、いかに眼を使っているかがわかると思います。
出社すれば、電車やバスなどから外(町の風景)を見る時間があります。
実は、目にとって遠くを眺める時間も大切なのです。

眼瞼ミオキミアの場合、眼を休める時間を作ったり、眼や眼のまわりを温めたり、規則正しい生活や栄養のある食事を心がければ、ある程度のけいれんは落ち着く可能性が高いです。
まずは一か月間試してください。また質問者さんの心の重荷になっていることが片付くと、ピクピクが軽減されるかもしれません。
それでも静まらないようなら、眼科へ行きましょう。
1日も早く改善されることを祈っています。

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